全般性不安障害(GAD)

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全般性不安障害(GAD)とは


 何が不安なのか、はっきりした対象や原因もなく、漠然とした不安感にさいなまれます。身の回りのいろいろなことが気になり、あらゆるものが対象になります。普通の心配性と異なるのは、不安の原因がわからない、もしくは不安の対象が次々と変わるところです。

 このように根拠もないことに大きな不安を感じ、そのうち不安や心配事をコントロールできなくなり、心身ともにバランスを崩してしまう病気です。

 全般性不安障害 は内科などで心電図などの詳しい検査を受けても異常ありません。原因ははっきりわかりませんが、ストレスの蓄積からいつのまにか発症しているケースも少なくないようです。


 アメリカで行われた調査によれば、一生の間にGADにかかる人の割合は35%、また不安を専門に診ているクリニックでは、全患者さんの30%程度がGADと診断されているぐらい一般的な病気です。患者の男女比は12となっており、女性に多い病気であり、20歳前後で発病することが多いといわれています。



全般性不安障害(GAD)症状


 いま起きている症状が全般性不安障害かどうかの診断基準には、米国精神医学会編「DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引」が参考になります。次の症状が自覚される方は医師の診断をお進めします。


1)仕事や学業などの多数の出来事または活動について、過剰な不安と心配がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
2)不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い。
3)不安や心配をコントロールすることが難しいと感じている。
4)不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
・そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
・疲れやすい
・集中できない、心が空白になってしまう
・刺激に対して過敏に反応してしまう
・頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
・眠れない又は熟睡した感じがない




全般性不安障害(GAD)原因


 全般性不安障害の原因については、どうして起こるのかまだよくわかっていませんが、他の不安障害に共通している几帳面、真面目、神経質な性格の方がなりやすいとされています。また遺伝的要因も考えられています。

 全般性不安障害が発病するきっかけとしては不安感を感じやすいといった性格的基盤があって、そこに仕事上、家庭内、健康上の強いストレスが継続してかかる事などによって発症すると考えられます。

 併せて、生物学的要因としては、うつ病と同じように、脳内の細胞間にあるセロトニンの量が不足して、気分を高める作用が悪くなっていると考えられています。しかし、内科などで心電図などの詳しい検査を受けても異常は認められません。



全般性不安障害(GAD)治療


 全般性不安障害GAD)の治療には「薬物治療」と「精神療法」が用いられます。全般性不安障害(GAD)の病気のもとは不安にありますのでまず、抗不安薬や抗うつ薬などを用いて、不安をコントロール可能になるまで軽減して、その上で精神療法により自らの不安をコントロールできるようにトレーニングしていきます。

 この「薬物療法」と「精神療法」は単独で行われたり、併用して行われたりしますが、どの治療法も専門医と相談の上、患者さん自身が納得して積極的に治療に参加することが大切になります。


精神療法
精神療法には、カウンセリング、認知行動療法、セルフコントロール法などがありますが、いずれも本人自身が気付いていない「心配や不安の根源」を見つけてコントロールしようというものです。
精神療法は、薬物療法と違って副作用はありませんが、患者さん自身の努力と専門医、家族の協力がかなり必要なこともあり、効果はその人次第というところがあります。


薬物療法
日本では全般性不安障害(GAD)という病名で国から承認されている薬はなく、抗不安薬や抗うつ薬を使って不安をコントロールが可能なくらいまで軽くし、その後、精神療法を行っていきます。